【新制度】レベル3.5飛行の登場

ドローンの飛行にはルールがあります

ドローンの飛行については、様々な法令で規制されています。
法令に違反すると、業務の失注や信用失墜だけでなく、懲役刑や罰金刑などを課されることがありますので事前に法令をよく確認をして適正な飛行を心がけましょう。

また、航空法以外にも、他の法律や条例等によって制限されていることもありますので日頃から法令には細心の注意を払ってドローンの飛行を行いましょう。

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レベル3.5飛行創設の経緯

ドローン事業の活性化に向けて

従来のレベル3飛行では、ドローン飛行経路の安全を確保するために補助者や看板の設置、横断車両や通行車両の一時停止(交通制限)などの立入管理措置を講じることが条件とされてきました。

山間部や海上などにおいて、立入管理措置を講じることは非常に大きな労力や金銭的なコストがかかることもあるため、事業者からは制度の改善や規制緩和を求める声があがっていました。

そのような声を受け、2023年11月に行われた規制改革推進会議において、国土交通省は一定の条件下で立入管理措置が不要となる「レベル3.5飛行」の創設を発表しました。

国側としても、運送業のリソース不足や人口減少地域の流通網を維持・確保するために、様々な事業者にドローンを積極的に活用してもらいたいという狙いがあります。

出典:無人航空機に係る取組の方向性について【国土交通省】

レベル3飛行について再確認

無人地帯(山、海・湖・河川、森林等)において、目視外飛行かつ補助者を配置せずに、自律・自動飛行をするときはレベル3飛行に該当します。主に中山間地や離島を対象にした荷物配送・災害の調査・遭難者の捜索・インフラ点検などが想定されています。

ドローンの飛行は第三者の上空を飛行させないことが大原則のため、道路や鉄道など第三者が存在する可能性がある場所の上空を横断したい場合には、立入管理措置(補助者の配置や横断前の一時停止など)が必要となります。

レベル3.5飛行の登場

従来のレベル3飛行においては、山間部で飛行させる場合に飛行経路上に道路や鉄道があったりすると補助者や立看板などを逐一配置しなければならず、非常に大きな手間とコストを要することになります。

また、海上を飛行させる場合も同様に、船舶が通行する航路上を通過するときには補助者配置などの安全を確保するための対策が求められます。

このように立入管理措置は、無人地帯でのドローン事業(配送や点検など)を行いたい場合において、大きなボトルネックとなっていました。

そこで、このようなボトルネックを解消すべく2023年12月に「レベル3.5飛行」が新設され、一定条件下において立入管理措置が不要となる規制緩和が実施されました。

これによって、中山間地や離島・水上などをターゲットにした荷物配送やインフラ点検が行いやすくなるため、ドローン関連事業の一層の活性化が期待できます。

レベル3.5飛行の中身

一定の条件下で、立入管理措置が不要になった

従来、立看板や補助者の配置が必要となっていた飛行ルートにおいて、条件を満たすことでこれらの措置が不要となります。

その条件について次項から見ていきましょう。

なお、細かい条件については、「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)【令和5年12月26日最終改正】」に記載されています。

条件1:操縦者が無人航空機操縦者技能証明を保有していること

目視内飛行の限定を解除し、飛行させる無人航空機に対応した技能証明が必要です。

レベル3.5飛行の創設によって、技能証明を保有することの価値が上がることになりました。

一方、レベル4飛行では必要となっている「機体認証」は、レベル3.5飛行においては不要となっている点に着目しておきましょう。

条件2:移動車両等との接触や交通障害等の不測の事態に備え、十分な補償が可能な第三者賠償責任保険に加入していること

レベル3.5飛行では、立入管理措置が不要となる代わりに、第三者賠償責任保険への加入が必須となります。

条件3:機体に取り付けたカメラと地上に設置するモニター等の設備により、進行方向の飛行経路の直下及びその周辺に第三者の立ち入りが無いことを確認できることを事前に確認していること

機体にカメラを装着し、モニターやFPVゴーグルなどで飛行時に周囲の状況が確認できるような手段を講じる必要があります。

審査期間が短くなる(予定)

従来のレベル3飛行は審査期間10日とされていながらも、実際には審査の完了に1ヶ月~2ヶ月程度を要することもありました。

国土交通省は、レベル3.5飛行の審査期間について2024年度中には「1日」で審査が完了するよう申請システムの準備をしているとのことなので、審査期間の短縮が期待できます。

1日での審査完了が実現すれば、ドローン配送事業などへの参入ハードルが大きく下がるため、ドローン関連産業の活性化が期待できます。

なお、現時点(2024.1.10)では、レベル3.5飛行の申請についてDIPS2.0が対応していないため電子メール等で申請を行う必要があります。

まとめ

レベル3.5飛行の創設により、自動運転型のドローンを活用した事業の活性化が期待されます。

中山間地や離島などの人口減少地域を対象にした配送サービスなど地域の活性化や地方創生などを絡めた事業展開を検討している事業者にとっては大きくプラスとなる規制緩和といえます。

当事務所では、機体登録・飛行許可の取得・飛行場所の法令チェックなどドローンに関する様々なサービスを提供しています。
「具体的に何をしたらいいのかわからない」、「一人で申請するのは難しい」、「ドローン事業の進め方に不安がある」など、ドローン事業に関連するお困りごとがあればお気軽にお問い合わせください。

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