「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の欄には何を書く?
この記事では、小規模事業者持続化補助金の申請書類のうち、経営計画書の「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の記載内容について解説します。
「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の記入欄は、「自社で取り扱う商品・サービスがどのようなものか」、「どのような強みをもっているのか」といった点を記入していきます。
とくに「顧客ニーズと市場の動向」(前回記事参照)で掘り下げた顧客のニーズと、自社の強みがマッチしているかという点も意識しながら書いていきましょう。
書き始める前に
申請様式(計画書の用紙など)の用意
作成にあたってまず申請様式を用意しましょう。
様式は以下の小規模事業者持続化補助金の公式WEBサイトからダウンロードできます。
書き始める前に:参考サイトについて
書き始める前に採択者の一覧や採択事例集などをチェックし、「どのような事業が採択されているのか」、「自己の事業との共通点はないか」といった点を確認しておきましょう。
書き始める前に:審査項目について
公募要領には、審査の際にチェックされる項目が定められていますので確認しておきましょう。
これらの項目に基づいて加点方式で審査が行われ、総合評価が高い順に採択されていきます。
- 自社の経営状況分析の妥当性
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自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。
- 経営方針・目標と今後のプランの適切性
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経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。 - 補助事業計画の有効性
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補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
補助事業計画には、ITを有効に活用する取組が見られるか。 - 積算の透明・適切性
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補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか。
事業費の計上・ 積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか。
書き方のコツ(共通事項)
- 文字数について
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文字数の制限はありませんが、<経営計画>及び<補助事業計画>(Ⅱ.経費明細表、Ⅲ.資金調達方法を除く)は、合計最大8枚程度までと指定されています。
指定の枚数を多少オーバーしたからといって直ちに不合格となるわけではないかと思いますが、できる限り指定の枚数に収まるように作成しましょう。 - まずは箇条書きで書いてみよう!
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文章を書くのが苦手という方は箇条書きで書くことをオススメします。
また、審査官は大量の申請書を限られた時間で審査しなければならないため、自分で項目を立てて簡潔な記述を意識したほうが要点が伝わりやすくなります。 - 図表や写真を使おう
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文字だけでは審査官にイメージが伝わりにくく、単調な書類となってしまいます。
売上を示すときは表を使う、市場規模を示すためにグラフを使う、新商品の説明にイメージ図を添付する、自社商品の説明に写真を使用するなど審査官にも事業の内容が伝わりやすいよう図表や写真を適度に使うのをオススメします。 - 平易な文章を心がけましょう
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補助金の審査は、経営に関する知識を有する審査官が行いますが、かならずしも各分野・各業種のエキスパートというわけではありません。
できるかぎり専門用語は避け、平易な文章で書くように心がけましょう。
「中高生でも読んで内容がわかるレベルでまとめる」ことを意識するとよいでしょう。
具体的に何を書く?
自社製品についての説明
「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」とあるとおり、「自社の強み」、「商品の強み」について記入する必要があります。
ただし、いきなり「商品の強み」の話をされても審査官は「この人はどんな商売をやっているんだろう・・・?」と頭がついていきませんから、まず前提事項として、自社がどのような商品・サービスを取り扱っているのか、商品にはどのような特徴があるのか、どのような人が買っているのかといった点を説明してあげましょう。
そのあとに「強み」(=売上に繋がっているのか)はどういった点なのかという構成にして審査官に伝わりやすいように文章を作っていきます。
主に以下のような項目を記載します。
- 商品の説明
- 取扱商品へのこだわり
- 流通経路、価格決定方針
など
- 商品の特徴・独自性
- 売上に占める割合
- 主力商品の写真
など
- 過去の売上データ
- 客単価・客層・クチコミ
- 売上が発生する状況
など
「強み」の分析(SWOT分析)
自社の製品についての説明を書いたあとは自社・自社製品の強みについて記述していきましょう。
「強み」を可視化するためにはSWOT分析が有効です。
SWOT分析とは、企業の経営状況について、「強み(Strengths)」、「弱み(Weaknesses)」、「外部にあるプラスの機会(Opportunities)」、「外部の脅威(Threats)」の観点から分析する手法のことです。
SWOT分析は、経営について内部の要因と外部の要因を分析することで、自分の立ち位置を把握し、経営戦略を策定するための基本ツールです。
SWOT分析の詳細についてはこの記事では触れませんが、以下ようなキーワードにマッチする「強み」と「機会」があれば具体的な内容に触れながらアピールしましょう。
品質、価格、材料、素材、調達方法、調達スピード、人材、情報ネットワーク、人脈、企画力、発想力、営業力、技術力、ノウハウ、広告宣伝力、生産性、納品スパン、設備、資金、IT・情報技術力、アフターサービス、立地・アクセス
- 市場の成長:市場規模が拡大していることや新しい市場の出現
- 顧客ニーズの変化:新たな顧客ニーズや消費者の嗜好の変化
- 技術革新:新しい技術や製品が登場し、市場に変化をもたらすこと
- 競合の弱み:競合企業の弱みや市場での隙間(ニッチ)の利用
- 政策変更や規制緩和:政府の方針転換や規制緩和はないか
- グローバル化:新たな市場への進出や国際的な取引の拡大機会
- 提携や協力関係:新たなパートナーシップや同業種・他業種間の連携
「弱み」を生かして書く
SWOT分析を行うことによって自社の強みと弱みを可視化することができます。
小規模事業者にとっては、どちらかというと「弱み」の部分のほうが多く書き出せてしまうかもしれません。
そのような場合、「弱み」についてどのように計画書で触れるべきか悩む方もいらっしゃるかと思います。
自社の「弱み」について思いつくままに書きすぎてしまうと、審査官に対して「この会社、課題がたくさんあるけど大丈夫かな?」「補助金を出しても頓挫しないかな?」と事業の確実性や実現可能性といったところで不安感をあおってしまう可能性があります。
そこで、例えば「補助金で新しい生産設備を導入したい」といった場合には、「低い生産性」や「操作者の安全確保」といった弱み(経営課題)の解決に焦点を絞って記載することで、「補助事業によって弱みを改善し、経営力の向上に繋がりますよ」と補助事業の必要性をアピールすることができます。
文量は?
「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の文量についての目安は0.5ページ~1ページ程度です。
計画書全体を8ページ以内に収める必要があるため、表と写真(1枚程度)を使用してコンパクトにまとめることを意識しましょう。
「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の書き方まとめ
- 自社の商品と「強み」についてコンパクトにまとめます。
- 「弱み」について触れる場合は、補助事業に関連する項目に焦点を絞りましょう。
ご参考までに、この記事の内容だけではどのように書けばいいかイメージがつきにくいと思いますので、サンプルイメージを以下にお示しします。(必ずしもこのサンプルどおりに書く必要はございません。あくまでも一例としてください。)
当事務所では、申請書類の作成サポートをはじめとした補助金に関連する手続きの支援業務を取り扱っております。
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